「あは、この蔵ノ介ニョロニョロみたい」

「ニョロニョロ?」

「あの、ムーミンの」

「え、めっちゃモブやん」

「可愛いよニョロニョロ」



私達の結婚式の時の写真が現像出来た。そこに写っていた、白いスーツを着た蔵ノ介は頭のてっぺんからつま先までがフラッシュのせいか真っ白になっていて、まるで前述の生き物のようだった。



「だから染めたら、って言ったのに」

「地毛やもん、しゃあないやん」

「じゃあ私は脱色すれば良かった」

「なんで?こづえもニョロニョロなってまうやん」

「ニョロニョロ夫婦、で」



まぁちゃんとしたカメラで撮ったやつもあるんだし、そっちに期待しよう、と私は蔵ノ介の肩を叩く。蔵ノ介は微笑み私を抱き寄せた。



100328
BLコンテスト・グランプリ作品
「見えない臓器の名前は」
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