「あ…」
「どしたん?」
腹部にちょっとだけ、違和感。
「なんか…お腹、が」
「大丈夫か?」
「…張ってきた、かも」
ぶわ。チーズリゾットがこぼれる。蔵ノ介が掻き混ぜる手を止めたからだ。私が慌ててそれを知らせると蔵ノ介はがちがちと不慣れな感じにまた掻き混ぜ始めた。
「それって、もうすぐ…やんな?」
「予定日過ぎてるし、多分…明日か…明後日には」
「…なんや、実感ないわ。病院行こか?」
「張ってしばらくしてから来て下さいって言われたから、お昼食べてから行こうかな」
「自分なんでそないにけろっとしとるん」
「慌てたって仕方ないし」
少し焦げてしまったリゾットを器に入れ、食卓についた。蔵ノ介も自分の分を注いで私の向かいに座った。スプーンがかちゃかちゃと音をたてる。
「うん、おいしい」
「…」
「蔵?」
「…味わからん」
「あは」
100512