「可愛かったねー」
「ああ…そうだな」
今日は私達夫婦の新居に弦一郎のお兄さん夫婦が来ていた。
一緒にご飯を食べたり、慣れない新婚生活にアドバイスを貰ったりしてとても楽しかったのだけれど、一番印象に残ったのはお兄さん夫婦の子だった。
お兄さん達には一人男の子が居て、もうすぐ一歳になる。
(つまりは私達の甥っ子)
「あのぷにぷにがたまんない…子供って良いなぁ…」
柔らかいほっぺたの感触を思い出すと幸せな気分に包まれる。人見知りをしない子で、特に私にはすぐ懐いてくれてとても可愛かった。
子供の話になるとやはりその矛先は私達に向けられる訳で。
『お前達はまだなのか?』
『は…はぁ』
『あなた、まだ新婚さんなのに、赤ちゃんが居る方がびっくりじゃない』
『いや、弦一郎ならやりかねん』
『兄さん!!』
食器を洗いながらその時の弦一郎の赤面ぶりを思い出してまた笑ってしまった。
おっと、お皿落ちる。
「ぶっ…くく」
「…何を笑っている」
「いや、お兄さんにあれ言われた時の弦一郎の反応を思い出して」
「…あれはだな!」
そう言ってごもごもと口ごもる弦一郎。それが余計私の笑いを誘うという事を自覚していないのかその後暫く弦一郎は挙動不審だった。
部屋の片付けも終わり弦一郎と二人テレビを見ながらのんびりしていたところ、ふと弦一郎が口を開く。
「澪緒、お前は子が欲しいか」
「え…まあね」
「男と女、どちらが良い」
「私は…どっちでも良いかな。弦一郎は?」
「俺もどちらでも良い」
そう言って弦一郎は私の手を握る力を強めたものだから、ああ、家族が増えるんだなと思った。
見ると弦一郎は顔が真っ赤だった。
息吹
100122