来週、大河が一歳になる。最近ははいはいも伝い歩きも上手になってきた。その分あぶなっかしい部分もあるけど、その成長ぶりは私にとって純粋に嬉しい。



「まんまぁ」

「はいはい」



あと、最近はお腹が空いた時や私の事を呼ぶ時たまに「まんま」と言うようになった。これを喋っていると捉えるかは人それぞれだが、弦一郎は少し気にしているようだった。



「なぁ…澪緒」

「何?」

「まだ、ぱぱ、とは言わんのか?」

「あ、あはは」



私が大河にごはんをあげていると横から羨望のような眼差しが送られてきた。うーん、"まま"はともかく"ぱぱ"はまだ難しい気がする。けどそれを言ったらきっと弦一郎は拗ねてしまうだろう。



「さぁ…教えてみたら良いんじゃない?」





食器を片付けたり、お風呂を用意したり、夜の家事の時は大河の相手は弦一郎に任せている。私がお皿を洗浄機に入れ終えリビングの方を覗くと、弦一郎と大河がじっと見つめ合っていた。



「きゃっきゃっ」

「大河、"ぱぱ"と言ってみろ」

「?」

「ほら、"ぱ""ぱ"」

「う?まんまー」

「違う"ぱぱ"だ」

「ままぁー」

「"ぱぱ"と言わんかーっ!」

「きゃはきゃは」

「ちょ、弦一郎」



一歳弱の息子に打ちのめされる父・真田弦一郎(23)でした。私はこの一部始終を黙ってデジカメに収めていたのは言うまでもない。



100502


「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -