「なんで…お前がそれ知っとんねん」

「女子の情報網ナメんといてや」



あの後私はユウジと小春ちゃんから逃げ出してしまったのだけど、すぐに追いかけてきたユウジに捕まった。小春ちゃんの姿は無い。気を効かせてくれたのか何か考えがあるのかは分からないが、とりあえず小春ちゃんが居ない事に安心して私は強気に出た。



「ユウジ、K高やめときや。私と同じとこでええやん。前までユウジもそこでええ言いよったやん」

「お前に言われて変えるくらいやったら最初っから三者懇談なんかあらへんわ」

「あっ、そ」



ユウジは不機嫌だった。バンダナが少しずれて詳しい表情が伺えなかった事もあるがその眉間には確かに深い皴が刻まれていた。



「ユウジのあほ」

「朔のどあほ」

「うん、どあほやで。せやからユウジとか小春ちゃんみたいに賢い高校受けられへんもん。私だけ、ちゃう所やもん」

「お前なぁ、ちったぁ落ち着けや」

「うるさいわ。私なんかただの腐れ縁やもんな。やっと切れるやん。良かったな」


いつもの憎まれ口のやりとりの筈なのに、私は取り乱してしまった。自分で自分が取り乱している事に気付いていない訳では無かったが、私は気付かないふりをした。きたない感情に身を任せて、心を吐き出した。ユウジが目を揺らした。柄にも無くユウジも狼狽しているようだった。
私はユウジに言ったはずのそれが自分で自分に言われたような気がして目頭が熱くなった。ユウジに泣き顔を見られるのは癪なので私はまた逃げ出した。今度は追って来る足音はしなかった。






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