先生から私立の願書が配られた。ユウジに私立はどこを受けるかと聞いたらお前と同じところやと言っていた。公立のレベルは上げても滑り止めの私立はやはりそのままにしておくらしい。もし、もしの話だが私もユウジも公立志望校に落ちればまた私達は一緒に居られる。私はそんなよからぬ考えが浮かんで自分で自分を汚いと思った。友人の不幸を願うなんて最低だ。
「小春」
「あらユウ君に朔ちゃん。なぁに?」
「小春私立どこ受けるんや?」
「あー、I学園よっ。蔵リンとおんなしト・コ・ロ」
小春ちゃんは軽くそう言ったがI学園はあの白石が必死こいて勉強する程の超名門私立だ。そこをあくまで"滑り止め"とする小春ちゃんの頭脳に驚くと同時に私達との世界の差を思い知った。
白石と同じとこやと!?小春!浮気か死なすど!と相変わらずユウジはいつも通り大騒ぎしていたが、小春ちゃんはいつもと違い苦笑を浮かべるだけだった。
「俺もし落ちたらお前と同じところかぁ」
「え、それ私落ちるの前提やん」
「お前アホやからなぁ」
「ユウジやってアホのくせにK校受けるやん」
私がそう言い捨てるとユウジだけでなく小春ちゃんも目をまるくした。私がそれを知っていたという事に心底驚いたような顔をしていた。
寂しかったのは、反応から察するに小春ちゃんは予め知っていたのだろう。人に深入りしない小春ちゃんが知っているのはユウジがきっと自分から話したに違いない。私には言わずに、小春ちゃんには、
やっぱりユウジなんて落ちてしまえ。
100214