「なぁ朔、聞いたァ?」



ユウジ君、K高受けるんやって!

それを聞いて私は思わず「アホやん」と口走っていた。そんなの、私だって1月になった今まで聞いた事無い。噂好きな女の子達は一体どこから情報を仕入れてくるのか分からないが、その話は本当らしかった。K高は府内でも1、2を争う偏差値トップ高校だ。いくらユウジが人並みより頭が良いとはいえ、いくらなんでも無謀だ。けど私は分かる。なぜその無謀を選ぶのか。それは何よりK高校には小春ちゃんの入学がほぼ決定しているからだ。小春ちゃんのIQ200の頭脳はどこの学校も欲しがっている。しかもテニスの腕も折り紙付き。そんな小春ちゃんがK高に確実な推薦を貰える事なんて火を見るより明らかだった。



「はん、落ちるやろ」

「朔、止めへんのん」

「私に関係あらへんやん」

「やけど最近ユウジ君真面目やんか。もしかしたら受かるかもしれんで」



私の志望校は偏差値も普通ぐらいの公立高校。もちろんそこはユウジも少し前まで志願していたところ。高校までユウジを追い掛けるつもりは無かったが今までごく自然と同じ道を歩いて来たようにこれからも同じ道を歩むものだと思っていたのに。

とうとう私達は別々の道を歩むことになりそうだった。
不思議と悲しくは無かったが、ユウジが小春ちゃんと同じ所を受けるということにひどく心を揺さぶられた。






100213



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