梅の花が咲く公園沿いの道をユウジと二人並んで歩く。去年みたいにもうすぐここは梅でなく桜並木になるだろう。
「朔」
「…なに?」
「スマンな、高校ん事黙っとって」
「誰にも秘密にしたかったんやろ」
「…俺、服飾科受けるねん」
「知ってる」
「はぁ?そこまで知っとったんか」
「あの事、覚えてる?」
「…当たり前や」
私の夢はな、ユウジの作ったウエディングドレスを着て、ユウジの隣に立つことなんやで。
俺の夢はな、俺の作ったウエディングドレスお前に着せて、お前の隣に立つことなんやで。
「あの夢、叶うやろか?」
「叶えたるわ。絶対にな」
手放して始めて分かる君の大切さ。ありきたりだけど私達は近すぎて、君が私の隣に在ることすら当たり前になっていた。
「もう、離さへん」
繋いでいたはずの手はいつ離れてしまったんだろう。もう一度繋ぎ直して、きつく握っていてほしい。ゼロ距離からの出発はゼロにたどり着いた。
100320