あの後入れ違いに蔵が図書室にやって来た。もう少し早かったら危なかったな、と思いつつ勉強をした。あの告白が頭に強く残っていて、上の空で勉強のはかどらない私を蔵は少し不審そうに見ていた。






推薦の入試が終わり、一般入試は益々近くなっている。勉強をするには部屋を整理した状態で保つべきだと教わり、今日が金曜という事もあってか私は学校から帰るなり部屋の掃除に取り掛かった。最近落ち着く事がなかったせいか部屋は随分と散らかっていて、山積みになったプリント類から必要なものを選別して捨てる事にした。



「…公立高等学校表」



公立の願書と一緒に配られたそれには府内の高校がびっしりと載っている。それを手に取り、私は無意識のうちにK高校を探していた。そして見付けてしまった。



「服飾デザイン科…?」



K高校にそんな学科があったのか、と何度も見直した。そこは近年出来た学科だったのだ。もしかして、ユウジはここを希望したのだろうか。デザイナーであるお父さんを持つユウジもデザイナーになりたいのだろうか。



もしかして、あの約束を覚えているのだろうか。
あの約束を果たすために、無茶をしているのだろうか。





100314


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