朔の携帯から聞こえた白石の声はやたら勝ち気で、むかついたけどそれが何でか分かった。


『朔をこないにしたんはお前やで、ユウジ』



あの時、俺は言い返す事が出来ひんかった。朔が白石と付き合うとんは、朔が白石に唆されたんやと思っとったし、俺に対してのあの喧嘩への当てつけみたいなもんやと思っとった。けど朔は自分の意思で白石と付き合うとるし、白石も本気で朔の事大事にしよる。汚い手やけど、もし白石のせいで朔が傷付くような事があれば俺は間違いなくそこに付け込んどったやろな。白石が淋しさに震える朔に付け込んだみたいに。
白石が言うたんは、多分俺が朔をそでにし過ぎた事やと思う。その事は俺かて反省しとるし、朔とちゃんと話し合うてこれからの事決めていきたい。せやけど今朔は白石の女で、それが幸せなんやろうか。そうやとしたら、俺はこのまま引き下がった方がええんやろか。



俺は朔が好きなんや。
小春に言われる前から薄々感じとったけど、その感情が家族愛とか友情に似とったからこないはっきり気付かんかったんや。好きとかそんなんやない。愛しとるんや、もしそう言うたら朔はどうするやろか。俺ん所に帰って来てくれるやろか。何を今更、て言われるんやろか。
略奪愛を略奪愛したら、これはどうなるんやろ。そもそも、俺らの関係って何なんや。朔の言う通りただの腐れ縁やったら、そんなん勝ち目ないやん。




100313


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