あの宣言から数日が経った。蔵は言った通り、しかも完璧に私を女の子達の嫉妬から守ってくれているのだろう。なぜならあの日から私の生活に全く支障は現れないからだ。影で蔵が私を守ってくれているのだ。
「朔、今日も図書室行くん?」
「うん」
一足先に受験を終えた蔵は一ヶ月後に控えた公立一般入試に備える私の勉強の手伝いをしてくれている。放課後の図書室は私達の勉強部屋になっていた。そして今日も私達は図書室で待ち合わせた。
「あ…俺保健室にプリント取りに行かなあかんわ。先やっとって」
「一緒に行こか?」
「いや、委員会の仕事やし…すぐ戻るから」
そう言って図書室を出ていく蔵の背中を見送り、私はまた机にかじりつくように勉強を再開した、が、それも長くは続かない。
「朔ちゃんおる?」
それは久しぶりに私を呼ぶ小春ちゃんの声だった。
100310