そしてまた、ひとり
お兄ちゃんの事が好き。愛してる。
またお兄ちゃんが私に黙ってどこかへ行ってしまうのではないかという不安はいつまでも拭い去る事は出来ない。縛りたくない、けど、どこにも行かないで。
あの日見つけたミユキちゃんのものと思わしい番号に私はまだ電話を掛ける事が出来ていなかった。本当にミユキちゃんの番号なのか。そして私が掛けても良いのか。お兄ちゃんの話をしても良いのか。
「…」
「最近ひなた暗かねぇ」
「そんなこと…」
「たまには外にも出てみんね。家ん中ばっかりじゃあたいぎゃつまらんとよ」
「ん」
「今度俺がオフば貰ったらどこぞ買い物ばしに連れてくけん。ね?」
心配そうにお兄ちゃんが私を抱きしめた。いつの間にか二人用になった私の狭いベッドにはお兄ちゃんの香りが染み付いている。いつもは安心するその香りが今回ばかりは私を不安にさせる以外の何物でもなかった。
100419