破裂まであと何秒





初めてお兄ちゃんの口から聞いた、お兄ちゃんの家族の事。それは私の知らなかった事ばかりで、お兄ちゃんを知ったと思い込んでいた私が情けなくなった。
話してくれたのは、お兄ちゃんはテニスを始めるため一人で大阪に越してきたということ。もうひとつは、ミユキちゃん達の居場所。
お兄ちゃんの父親は有名な陶芸家であって、彼が大阪四天宝寺の寮へ入ると同時に父親達家族は長崎の田舎の方に越したらしい。驚いたのはお兄ちゃんと彼の父親はそれを一晩で決め、翌日にはもうそれらを実行したこと。だから別れを告げられることも知ることも無かったんだ。



「…ミユキちゃんは、どうして私に連絡くれなかったのかな…」

「ひなたが、俺ん事好いとったからたい」

「…え?」

「なんでもなかよ!ミユキもまだまだ子供やったけん、電話し辛かったんやなかと?」

「そう…かな」

「おお、もうこげな時間ばいね。早う寝なっせ」



お兄ちゃんが壁掛け時計を見て、いやに明るくそう言った。蟠りを取り除くにはまだまだ時間を要するらしい。



「…お兄ちゃん」

「ん?」

「一緒に寝よ」

「ひなたは甘えん坊やね」



今はただ愛し合っていたい。今までの時間を埋められるわけは無いが、これから同じ時間を刻んで行けば良いのだ。





100407









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