乙女の消失






大人のキスはお兄ちゃんの方が何枚も上手で、私は砕けそうになる腰を支えてもらいながらキスを続けた。そのうちどちらからともなく床に座り込み、また深くキスをした。



「っ、おにい、ちゃ」

「ひなた…良か?」

「…うん」



処女を彼に捧げられる事程幸せな事は無いと思った。冷たいリビングの床から横抱きに抱き上げられ、私の部屋のベッドへ運ばれる。
ゆっくり壊れ物のように優しくそこへ下ろされるとぎし、と音を立ててお兄ちゃんが私の上に跨がった。



「お兄ちゃん…」

「ひなた、初めてね?」

「うん…」

「…良かったばい。俺が初めてでもよかとね?」

「うん…っ!」



お兄ちゃんが私の服に手を掛けた途端、私はもうぴりりと痺れるような感覚に陥った。お兄ちゃんの指も震えていて、精一杯優しくしてくれているようだった。



「あっ…ん…」

「ひなた…いやらしか」

「お兄ちゃ…んんっ…」



胸元、首筋、脇腹、太股。至る所にお兄ちゃんは跡を残していった。お兄ちゃんの跡が残される度に私はそこがお兄ちゃんのものになれたような気がして、言いようの無いくらい幸せで、気持ち良かった。



「んっんふ…あっ!」



初めては痛い、と聞いたが私はそれ程の痛みを感じる事は無かった。きっとそれはお兄ちゃんがとても丁寧にしてくれた事と、絶え間無く続く蕩けるような甘いキスのおかげだと思う。汗ばんだ身体を擦り合わせ奥へ奥へと突き上げる欲望に揺すぶられながら私は必死にお兄ちゃんの背中へ手を回していた。甘い声も堪える事無く漏らした。お兄ちゃんが私を求めてくれた事に喜び涙もした。行為への罪悪感を抱きながらこれからの恋人としての生活の期待と不安を抱きながら私達は溶け合った。






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