噛みつけ









噛み付いたら離れない。そんな彼女がまるでスッポンのようだと思った。俺が彼女にちょっかいを出すと彼女は俺に噛み付く。そして白石が彼女を宥める。あいつはスッポンみたいや、と白石に例えを話すと白石は口角を上げて、そうやなぁ、と笑うだけだった。



「あほ謙也」



今日もやはり彼女は俺に噛み付いた。俺は心中、このスッポンが、と毒づいた。その言葉にそれほど敵意は含んでいなかったが俺はそれをすぐに後悔した。白石って、スッポン好きやったよなぁ。そう考えた途端彼女にあほと言われた事よりももっとむかついた。せやけどスッポンは噛み付いたら離れへんねやなぁ。そう考えるとすぐに気分が楽になった。



「こづえ」

「な、なんなんよ」

「そのまま俺に噛み付いといてくれ」

「はぁ?マゾ?」



こづえは意味が分からないといった顔で俺を見た。その場に居合わせた白石は、こらあかん、負け。とため息をついてラケットを担ぎ金太郎を捕まえに行った。その様子を見てこづえは益々訝しげな顔をして俺達を見ていた。





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