コノハナサクヤ





※「零」シリーズ月蝕の仮面パロです。
元ネタが分からない方にはきついかもしれません。
※近親相姦です。
配役
灰原耀→財前光
灰原朔夜→財前こづえ
亞夜子→金太郎




皆は、こづえ姉さんの顔を思い出せへんと言う。



「光、また来たのね」

「調子はどうや」

「今日はすごく気持ちが良いわ。桜がね、綺麗なの」

「…ほんまや」



姉さんは前に器をした時から重度の"例の病"になった。俺は姉さんを治したくて、東京まで出たんはええんやけど、自分の病院で人体実験しとるうちに厄介な刑事に目ぇつけられてしもた。ま、そいつとの鬼ごっこも楽しいからええんやけど、本来の目的はあくまで姉さんの病気を治す事やから捕まりでもしたらシャレにならへん。せやから俺はこの島に帰って来て、実家のこの病院に身を潜める事にしたんや。けど姉さんには追われとる事は言うてへん。心配させたないし。



「…金太郎、元気?」

「おん。昨日な、"怖い夢見たから光一緒に寝て"言うてきてん」

「ふふ。まだまだ子供ね」



俺と姉さんとの間には息子がおる。名前は金太郎、禁忌の子や。俺が十五、姉さんが十八ん時やった。俺が姉さんを孕ましてもうたんや。俺は姉さんの事を本気で愛しとるから後悔はしてへん。けど姉さんは、どうなんやろな。ここの院長である親父なんかは俺らが異常に仲ええんに薄々気付いとったらしいから、子供が出来た時はそないに焦ってへんかったなぁ。



「ねぇ光」

「なん?」

「わたしの顔、わかる?」

「…わかるで。綺麗や、こづえ」



ゆらり。姉さんの顔が蜃気楼のように揺らぐのを俺は確かに見ていた。
もう、いつ咲いてもおかしない。
せやけど俺は姉さんの顔から目を逸らさへん。例え姉さんが咲き、俺も咲いてしまったとしても。姉さんに咲かされるんならそれもええ。なぁ姉さん。



「ひ、カ   る」

「姉さん」

「ワたし、ワたシ」



姉さんが苦しげに喘いだ。月の光りを求めとるらしい。今は昼間やのに。



「霊石灯を…」

「ダイジょお、ぶ」

「…」

「月ノ、ひカリが 無く テも、私には ヒかルが イるカ ら」

「姉さん…」



いっそ姉さんが早よ咲いてまえばええと思う。したら俺が死んだ時姉さんの中に入れるんに。
けど姉さんが姉さんとして生きたい言うんやったら俺は何でもする。


姉さんと金太郎と俺と、いつか三人で暮らすんや。





100510




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