綺麗なものは俺のもの
女性というものは、自らに美しさを求める。そして自らを磨く事により、誰より自分自身が一番悦楽を覚えるのだ。
「柳って爪綺麗でうらやましいな」
こづえは自分の桜貝のような爪を鑢で整えながら言った。それに続く、手入れとかしてないんでしょ、という質問に俺は頷く。
「ずるい」
ずるい、というのは心外だ。本当にずるいというのはお前の事だろう。こづえ。俺と同じ部屋に居ながら爪を磨き、俺をここまで虜にしておきながらその素っ気ない態度。そして俺はそれにすらそそられる。
「お前がさらに綺麗になる方法を教えてやろうか?」
「なに?」
今日初めてこづえは俺の顔をまじまじと見た。俺はグロスでむらなく整えられた唇をかじり、彼女をそのままベッドに押し倒した。長い睫毛が瞬き、驚いている。
「処女を失くせば良い」
もう一度乱暴に口づけた。グロスを全て舐め取ってしまうように。ベッドが揺れる度ベッドサイドの机上に置かれた香水瓶が揺れていた。
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