お返し頂戴
「はい謙也」
そう言ってこづえが俺に渡したのはピンクを基調にラッピングされた小さな箱。今日は2/14所謂バレンタインデー。白石には負けるけど俺もかなりの数を貰った、が、こづえから貰うチョコが一番嬉しいわけで。
あかん、顔にやけとる。
「あっ、ああああ」
「チョコ。謙也にあげる」
「おっ、おん!あっ、ありがっ、とうな」
「手作りだから、味の保証はできんけどね?」
て、手作りやと!
手作りやなんてそんな。受験戦争真っ只中の俺達はかなり忙しいはず、にもかかわらずこづえは時間を割いてチョコを作ってくれた。俺のために。
まだチョコを口にしていないにも関わらず俺は鼻血が出そうになったのであった。
「いっ、い、今食うてええか!?」
「どうぞ」
急いで、かつ丁寧にラッピングを解く。程なくしてハート形の可愛いらしいチョコが俺に挨拶してきた。それをゆっくりとつまみ、こづえに一礼してから口にほうり込む。
「め…めっちゃうまい…」
俺が震えながらそう言うとこづえが嬉しそうに笑った。
夢中でチョコを貪る俺にこづえが言い放つ言葉に俺は驚愕することになるとは、さっきまでの俺には想像もつかなかったに違いない。
「お返しは身体で」
100207