どっちもどっち
「跡部ってさ…」
「アーン?」
「クサい台詞好きそうだよね」
いや正確には好きそうではなく好きだろう。彼は虫酸が走るような甘い台詞が好きだ。主にそれの犠牲者は彼女の私であって、今では私も結構な耐性がついてはいるが。
「お前な…唐突に何言ってやがる」
「だっていっつも直球なくせにここぞって時はなんかかっこいい台詞言うじゃない」
「ふん…女はそういうのが好きだろうが」
「好きっていうかね…」
甘い台詞が好きか嫌いかと聞かれれば私はきっと私は嫌いなのだと思う。ドラマにあるような綺麗な台詞や格好をつけた台詞や、比喩を使った台詞が昔から嫌いだった。どうにも笑えてしまったり、気味が悪いと思ってしまうのだ。
「なら、お前は俺様のセリフは常に直球が良いのかよ」
「やだ。ムードぶち壊し」
「どっちなんだ」
「んー…ほかの男が言ったらきもいような言葉でも、跡部なら許せちゃうかも」
「アーン?」
「たとえ言葉におえってなっても私は跡部が好きな事に変わりは無いだろうから」
「お前、何気に今すげぇ恥ずかしい事言ってんぞ」
100319