四月馬鹿眼鏡








「侑士」

「んー?」

「嫌い」

「!!!!」



思い起こせば、あの会話。



「いや、嘘だよ、嘘。エイプリルフール!」

「嘘でもそないな事言うたらアカン」

「…」



「嫌い」が相当響いたのか侑士は涙目になりながら私を問い詰めた。「なんでや、なんで俺の事嫌いなんや、眼鏡か、丸眼鏡があかんのか、この憎たらしい眼鏡め叩き割ったる。はっ、まさか俺が脚好きや言うたから怒っとんか、あれはちゃうねん、お前の脚が一番や」と必死に言い始めるものだから「嘘だ」と言うタイミングを逃してしまった。やっとネタばらしをした今でも侑士はベッドに座りずっと私を膝に乗せてぐちぐちと文句を言っている。



「ほんま、泣くで」

「嘘だよ嘘…」

「めっちゃ傷付いた」

「…」

「せやからなんかプラマイゼロになる事言うて」

「言う?」

「すき、って言うて」



耳元で囁かれる。ぞわっ。お前の「すき」はいやらしいんだよばかぁとか思ってたら次は「はよ言うて」攻撃。くそ、こんな事なら嘘つくんじゃなかった。



「す、すき」

「んー?聞こえへんでぇ」

「好き!」

「ようできました。ほな次は」

「ま、まだあるの?」

「キスしてくれたらええで」

「しね」

「ほら、はよ眼鏡外して」



なんだよこいつ調子乗りやがって、ばか。そう思いながらも眼鏡に手をかけた私も相当ばかだ。あーもう4月ばか。




100401





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