「しなす、ころす」
「ユ…ウ、ジ…」
「なんで白石と話しとったん」
「部費の、話、で」
「謙也」
「新し、い、ガット…」
「財前」
「後、輩の話…」
「千歳」
「授業のノート、貸してた、から…あ」
それから何人もの男の子の名前を出されて、私はその度すぐに理由を話した。ぎりぎりと締まる私の首が脳を侵す。苦しくて、ユウジを見た。
「…ええわ」
「ゲホ、ゴホッ」
「大丈夫か?」
誤解が解け、ユウジがぱっと指を離した。噎せる私を優しく撫でるその指は、強く首を掴んでいたせいか血の気が引いて真っ白だった。
「ゲホ…」
「跡また残ってもたな」
「…ん」
ユウジがそって首を撫でる。そこはきっと赤黒くなっているだろう。
「お前は俺のんやんな?」
「…うん」
ユウジがあまりに優しく笑うから、私は首の跡なんて忘れてユウジに縋り付いた。
100518