丸井くんの髪はとても赤くて、私も彼も大好きな苺にそっくり。けど最近私の大好きなその髪がだんだん黒くなってきた。仁王くんに聞いたら彼は髪を染めるのを止めてしまったかららしい。たしか、本気でお金を貯める気になったからだそう。

あれから数ヶ月経ち、彼の髪が半分ほど黒くなってきた。その姿はまるでチョコレート掛けの苺のよう。私は授業中お腹を鳴らして彼を見つめた。

また数ヶ月経ち、彼の髪はすっかり黒いところだけで切り揃えられていた。真っ赤だった彼が嘘のようだ。そういえば彼はいくらお金を貯める事が出来たのかな。あの苺の髪を捨ててまで貯めたんだからきっとすごい量のお金を貯めているんだろう。何か高価なものでも欲しかったのかな。

ある日彼は真新しい携帯を持って学校に来ていた。その色は昔の彼の髪の色みたいな綺麗な赤。貯めていたお金でようやく携帯を買ったのだと嬉しそうに仁王くんに話していた。そして仁王くんも自分の携帯を取り出し、こつん。赤外線でアドレス交換。

そんなやりとりをぼーっと見ていたら、いつの間にか当の丸井くんが私の目の前に居た。



「なぁ、お前携帯持ってるだろぃ」

「う、うん」

「アドレス、交換しようぜぃ」

「え…え?」

「交換してやってくれんかのぅ。丸井、お前さんとメールするために携帯買うたんじゃき」

「おい仁王黙れって」

「え?」



100516






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テーマ「人外ファンタジー」
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