なんて小憎たらしいやつだろう。お互いそう思いながらも、離れようとか疲れたとかそういう風に関係が崩れるきっかけがこないというのはなかなか面白くもありおかしな話でもある。
気をつかうことはないし、だからといって特別親しいわけでも友達なわけでもない。言い換える言葉を当てはめるなら、いわゆる"つるんでいる"関係なんだろう。
いたい時に一緒にいて、話し相手がほしいときに時々しゃべって、たまにどっか行きたくなったとき付き合わせる。
そのタイミングが偶然にもお互いあうのだから不思議だ。
そういうときも必ず「先輩って暇人っすねぇ」なんてくそ生意気なことを言ってのけるから、そう言いながら毎回ついてくるお前も相当な暇人だろと返しておく。すると「俺はまだ2年ですから」なんて余裕を見せつけるようににかっといたずらっぽく笑うのも、最近わりと見慣れてきた。
その表情がなんとなくかわいく見えて悔しくなったから、からかいと仕返しの意味をこめて俺の肩よりすこしばかり低い位置にあるふわふわした色の薄い髪の毛をわしわしとかきまぜてやったら幾分すっきりした。
倉間は「ちくしょ、ぐちゃぐちゃじゃんかよ」なんて口をとがらせながら文句をたれる。ざまあみろ。ニヤニヤしながら見下ろしていたら、「年上のくせに大人げねー」なんてまた減らない口でのたまって髪の毛を手櫛で直す。雨の日は広がって収集がつかなくなるらしい。そんな気にするようなことか?
小さな手でせっせと髪の毛を直す倉間をぼけっと眺めていたらふたたび倉間が口を開いた。
「黙ってればそこそこなのに、しゃべると台無しっすね、先輩」
それはそっくりそのままお前に返すわとか一言よけいだとか言いたいことがすべて頭からすっかり追い出されてしまった。
いつもと同じ調子の生意気な軽口なのに、やわらかく控えめにくすくすと笑う倉間がそれをまったく感じさせなくて、ただそれに目を奪われたまま時が止まったようだった。
俺が何も言わないのを不審に思ったのか、斜め下から倉間が覗き込んでくる。
「どうしたんすか先輩、固まっちゃって 口開けたままにしてるとアホに見えますよ」
倉間の言葉でようやく周りが見えるようになる。ほんとにこいつは可愛げがねぇな。けどそんなこいつをどうやら気に入ってるらしい自分もなかなか物好きだ。
「さっきの、そっくりそのままお前に返してやるよ」
ひとつ弾き出された新たな確信になんだかすこし優越を感じて自然に口角が上がる。
そのうち出し抜いてやるから待ってろ、と、普通なら好意を向ける相手にはとても抱かない感情を胸にキスの代わりに仕返しもこめたデコピンをくらわせてやった。
意地っ張りラブゲーム
友人に捧げました〜
遅くなってごめんね!
京天楽しみにしてるわ///
南倉のお互いにこのくっつきそうでくっつかない関係が新鮮でニヤニヤします^ω^