湯気で髪の毛が湿って首筋にはり付く感触にすこし苛ついたけれど、目の前で楽しそうにお湯をすくってはぱしゃぱしゃと音を立てて遊ぶ天馬を見ていたらどうでもよくなった。

普段はくるりと巻いていて流れるような髪も、今はしんなりと大人しい。
思っていたよりも白くて細い肩、そこから視線をずらせば鎖骨にお湯が一筋伝うのが見えた。胸元は桜色に染まっていて、別に女のように膨らみがあるわけでもないのに妙な色香を感じさせられる。

手にすくったお湯を見つめる青い瞳は普段と違う光をゆらゆらと映していて、伏せられている案外長いまつげの先で震えるしずくが、今のこいつをより儚く見せた。

まばたきをするのも忘れるくらいに天馬を見つめる。いつもとまったく違うこいつの姿に、本当に同一人物なんだろうかと疑いすら湧く。
けれどはじかれたように顔をあげ、不意にこちらを見てはふにゃりと笑うのを見るとやはりこいつは松風天馬なんだと思わされる。なんともそよ風のようでふわふわと捕まえにくいやつだ。

俺も天馬の笑顔にこたえるように口許を意地悪く歪ませる。
小さな顎に指を添えてすこし上を向かせると、いつもより血色のいい薄い唇に噛みついた。

「、ん っ…」

さくらんぼの砂糖漬けぐらい甘くてむせ返るようなキスをしながら、こいつがもう俺のこと以外考えなくなればいいのになんてシャンプーの匂いと立ちこめる湯気にやられてよく回らない頭で思う。

そんな俺の方がこいつに相当入れ込んでいることに気づいて、心の中で静かにほくそ笑んだ。











初京天!
二人でお風呂にただぷかぷか入るだけとかでもかわいいなあと

しかし京介は天馬くんをなんと呼ぶのかわからないので大変苦労しました
三人称が定まらない!



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