バダップ・ミストレ・エスカバ
「だーかーらー!それじゃないって!何度目だよこのエスバカ!!!」
「んだとぉ!?テメェ表出ろこのナルシストレーネが!!」
今日も相変わらずの二人。
同族嫌悪、というやつでしょうか?
まったく似てないようでどこか似ている二人はちょっとしたことでよく喧嘩をします。
バダップはそんな二人を見て毎日飽きないなと感じます。あと、ほんのすこし羨ましいとも…
とりあえず見つけたからには二人の争いを止めたほうがよさそうです。
しかし力ずく以外だとどうやって止めるべきかバダップはわかりませんでした。
バダップは懸命に考えます。
そしてひとつの方法を思い付きました。
バダップは、周りからたくさんの視線を集めながらぎゃんぎゃんと言い争いを続ける二人の前に立つと高らかにこう言いました。
「エスカバ!ハウス!」
二人はきょとんとしますが、次の瞬間ミストレは爆笑し、エスカバは言われたことに噛み付いてきました。
「あっはっはっは!!ハウスだって!」
「犬扱いすんな!」
ミストレはニヤニヤしながらエスカバをからかいます。
「きゃんきゃんうるさいよエスバカ、おすわり」
「テメ…!」
どうやらバダップ的には二人の争いは収まったように見えたみたいです。
バダップはミストレに再び噛み付こうとするエスカバをなだめます。
「よしよし落ち着けエスカバ、おまえは賢いだろう、待てだ」
「元はといえばバダップのせいだろ!頭撫でんな!」
バダップは自分が二人の喧嘩を止められたことに満足げな表情を浮かべ、エスカバは納得いかないといった風にバダップを睨みました。
ミストレはげらげら笑いながらその様子を見ていました。
今日も空は綺麗に晴れていて
雲ひとつありません。
決して平和とは言えない世界でしたが、この学園のなかでこうして気のおける仲間と過ごす彼らは、年相応の無邪気な少年の笑みをたたえていました。
オーガのある日の風景
(で、なんで俺が犬なんだよ)
(なんとなくエスカバが犬っぽく見えたからだ)
(俺…犬っぽいのか…)