半田と一之瀬


(ねえ、半田はさ、俺が…いなくなったら寂しい?)
(なんだよそんないきなり)
(なんでもいいから答えて?)
(や、答えろって…具体的な質問の意味がわかんないと答えらんないだろ)
(…そうだね、ごめん)



(………寂しいよ)
(え?)
(…だから、どんな形だって一之瀬が俺のそばにいないのは困るって言ったんだよ)
(…はん、だ)
(…黙っていなくなったりしたら…許さないからな)
(ん…)

抱きしめた一之瀬の細さにどきりとしながらも、まだその時は一之瀬が俺の前からいなくなるなんて想像もつかなかった。
いや、想像なんてしたくなかったにちがいない。

突然投げかけられた質問の、ほんとうの答えさえ言わないまま、一之瀬は俺との約束をやさしく破ったんだ。



さよならの約束



あの時のゆびきりが
心のすみからはがすことが
出来ないで残っているのです








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