薄型の書き込み式パネルに、昔ながらの紙の書物が数冊とシンプルなペンケース。どうやら自習をしていたらしいと見える持ち物だ。
きょとんとした顔に、ちょっとだけ開いた口から覗く八重歯がかわいくて、質問に答える前にすこし笑ってしまう。

「ふふ、まぁそんなところかな」
「何笑ってんだよ?」
「なんでもないよ」
「ふぅん…いいけどあんま遅くなんなよ?」
「ああ、わかってるよ」

さすがにエスカのために四つ葉のシロツメクサを探してるとは言えなかったので、少々怪しませることになったがまぁいいか。さりげなく心配もしてもらえたし。
エスカとの会話をきっかけに身体をほぐそうと立ち上がる。首を回しながら、元いた場所から7、8歩ほど移動して再び座り込む。そうして眼前の緑に目を向けた瞬間だった。
白いこんもりとした花と隣り合わせに、四枚の葉っぱがついた茎が上を向いてまっすぐに伸びているのを見つけた。少しでも光を浴びて大きくなろうとしている一本の四つ葉のシロツメクサが、背筋を伸ばして凛としていた。

俺はそれを見て、この四つ葉を摘む気にはなれなかった。
たとえ明日には誰かに摘まれてしまうとしても、今の間だけでもこの四つ葉に元気でいてほしいと思った。
我ながら照れくさくて笑ってしまいたくなったけれど、不思議と嫌な気分にはならなかった。もう日もほとんど落ちかけている。そろそろ寮に帰らないと寮の管理人を笑顔で買収するハメになりそうだ。

明日の放課後はエスカを誘って買い物にでも行こう。この間見た四つ葉の模様がついたマグカップがいいかもしれない。
膝や手についた草を払って立ち上がると、俺は清々しい気持ちでこの休憩所をあとにした。




いないいないばぁで見つけた



(俺にとってエスカと共にあるこの日々が一番の幸運なんだろう)





なんか四葉のクローバーで占いするミストレちゃんが書きたいとか思ってたのに、結末が当初と違う内容に…アレ?
やっぱり最後まで大まかな話を練ってから書かないといけないですね…
しかもミストレちゃんのキャラ行方不明…!誰これ(笑)
とにかく、長文にここまで付き合ってくださりありがとうございました!




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