※佐久間がにゃんこ
※あくまで佐久→鬼
ねえねえ、聞いてください、お月さま。
おれは、はじめてこいをしました。
ねえねえ、話していいですか
お星さま。
これはまだだれにもひみつだから、今ここでだけ。
お月さまとお星さまにだけ。
おれは生まれつき右目がよく見えなくて、そのせいですてられてしまったんです。
おれの母さんやかい主の女の子が、おれをすてるときとても、とても悲しそうなかおで
「ごめんね、」
と、おれの名前をよんだのを
とてもよくおぼえています。
そのときは小さかったから
よくわからなかったけどなんとなく
「ああ、母さんとはもう会えないんだな」
って思ったんです。
その2日後でした。
あの人がおれを見つけて、
「お前、大丈夫か?」
と、そのあったかいうででだき上げてくれたのは。
家につれて行ってくれて、
お父さんにばれないようにって、こっそり、ごはんのおかずを持ってきてくれたのは。
やさしいかおで、おれのあたまをなでてくれたのは。
おれのよく見えない目にだってはっきりわかる、まっ赤なほう石みたいにきらきらした目。
おれを見つめながら、やわらかく細まるその目が、とてもきれいで、目がはなせなくなってしまいました。
あの人の、やさしさに。
あの人の、えがおに。
あの人の、ひとみに。
おれは、恋をしてしまったんです。
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