玄関の扉を急いで閉めて、これ以上家の中に冷気が流れこんでこないようにする。

「うーさっみぃ…」

今日はまだ11月の半ばだというのに、天気予報では12月下旬の気温だとかいうので、いつもよりは着込んでいったけれどやっぱり寒さは体に染みこんできた。
空気がぴんと張り詰めていて
空は綺麗な青だったけれど、首をすくめて歩く人ばかりが街を通りすぎていった。

着ていたコートを脱ぎ、手を洗うことは忘れない。
荷物を持ち、二階の自室へと足を進める。
扉を開けると、独特のあたたかい空気が顔をなでる。
母が暖房をつけていったのだろう。
ふとベッドに視線をやると、毛布のがちいさく丸い形に盛り上がっていて。

…やっぱりな。

扉を開けたらいつもは、いっぱいの笑顔でふわふわした尻尾をちぎれんばかりに振りながら俺を出迎えてくれるはずのマルコは、すーすーと寝息をたてながら気持ちよさそうに眠っていたのだった。
俺がベッドに座っても目を覚まさない辺り、相当眠りが深いらしい。
尻尾と同じようにふわふわの赤っぽいくせ毛をゆっくりなでてやると、ふにゃっと一瞬笑ったように見えた。
そのときちらと覗いた犬歯がかわいくて、思わず笑みがこぼれる。

出迎えがなかったのは少し残念だったけれど、今日はかわいい寝顔が見られたから、よしとしようか。

俺はマルコが起きたときのためにレモネードでも作ってやるかと上ってきた階段を再び下りることにした。



今日のわんこと冬景色

わんこマルコちゃんと
飼い主ジャンルカさん





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