今の状況に対して思うことはとにかく色々あるが、まず最初に言いたい、どうしてこうなった。
視界の大部分を占めるのは俺に覆い被さる影。そいつは特別人目を引く赤い髪を持った魔王、もとい俺が一度辞めたバスケ部の頂点に君臨する一年生。俺を再びバスケ部に引き戻した張本人でもある。
あとは寮の自室の白っぽい天井ばかりだ。すこし目線を移すと、窓に切り取られた休日の午後に相応しい青空が見えた。

「へえ、よそ見をする余裕があるんだね、千尋?」

こちらからは逆光で相手の表情が見えづらいが、俺を射抜く色違いの目が鋭さを増した気がする。俺としては余裕があったわけではなく、むしろこの状況を受け入れたくないがゆえの本能的な逃避行動として視線を逸らしたのだが。この過ぎるほどに聡い主将様は残念ながらそうは解釈してくれなかったらしい。

「…俺が悪かった、だから許してくれ」

本当はあれは不可抗力だったが、珍しく怒りを露わにしている今の赤司にはきっと何を言っても効果はないだろう。こちらが先に折れた方が事態が早く穏やかに片づくのならそれがいい。そう思い、普段よりもいくらか萎らしい態度で言葉を紡いだ。

「…反省しているのならいいだろう」

暫しの間を空けて赤司から返ってきた許しの言葉に、俺は無意識に詰めていたらしい息をそっと吐いた。しかしあとに続いた言葉に俺は再び身を凍り付かせることになる。

「だから、反省していることを僕に分かるようにちゃんと見せてくれ」

…それはどういうことだ。さっきので許したんじゃないのか。そう思って思わず眉間に皺を寄せ、訳が分からないといった顔をしてしまった。

「は?さっきので許したんじゃ、」
「許しはしたさ。だが今後またそういうことが起こらないとも言えないだろう?だから絶対にしないという誠意を、千尋に見せてほしいんだ」

とんだ屁理屈だ。うわ、と声が出そうになったがなんとか出す前に飲み込んだ。これだから頭のいい奴は。
だがこいつは言ったことを譲る気はないだろう。こいつ自身、有言不言に関わらず決めたことは実行するし、他人にもそれを要求してくるのだ。
しかもこういうときの要求は決まってろくでもないと今までの経験から分かっている。くそ、実渕め。なんであのタイミングで俺の尻なんか撫でてきやがったんだ。いや、どのタイミングだろうと尻を撫でられるなんて御免だが、寄りによってなぜ赤司が居合わせているときになんだ、空気を読まないにもほどがある。
しかしこうなってしまった以上は従わなければならない。赤司を前にして、やらないという選択肢は存在しないのだ。

「…分かったよ」

俺は小さく息を吐いて、目の前の後輩─もとい恋人に、渋々要求への了承の返事をした。

***

俺のベッドの脇に腰掛けた赤司の脚の間に座り込み、制服のズボンへ手をかける。噛み合わさっているホックを外してチャックを下げた。時計の針の音ばかりしかしない部屋にそれはいやに大きく響いて、これから何が始まるのかを俺に実感としてダイレクトに伝えてくる。一瞬下半身が重たくなった気がしたけれどそれに気付かないふりをして、まだ萎えたままの赤司のそれを下着の中から取り出した。
普段自分が抜くときのように、親指と人差し指を輪っかにして扱けばそれはゆるゆると反応を示した。少し先走りをこぼし始めた陰茎に俺は舌を這わせ、竿から裏筋まで懇切丁寧に舐める。

「ん、…っは」

ある程度唾液を絡めたら次は口の中へと招いてやり、粘膜を擦り付けたり、甘噛みしてやったり、喉の奥で絞るように締め付ければ、それはすっかり芯を持って勃ち上がっていた。
時折袋も指先で擽るように揉みほぐしてやると、赤司の口からは熱の篭もった吐息が漏れる。俺の頭に乗せられていた手が、快楽で乱れる息と共にくしゃりと髪を掴むのを感じて、ああ、こいつも気持ちがいいんだなと思った。

「っ、…は…千尋、いいよ…上手だ」

余裕のなさそうな赤司の声に、俺の中心も確実に熱を持ったのを感じた。恋人のものとはいえ男のチンコ咥えておっ勃ててるなんて、俺も大概変態だなと理性のすり減り始めた頭の隅で自嘲気味に考える。それでもやめようとか嫌だとは思わないのは、俺がとうの昔にこの赤い悪魔に捕まってしまったからだ。

そんな風に色々頭に巡らせながら舌を使っていると、そろそろ赤司の限界が近くなってきたらしい。…出来れば外に出してもらいたいもんだが、そう上手くいく気はあまりしない。おそらくは飲まされるか顔にかけられるかの二択だろう。とまで考えて、こういう時の赤司の動向が分かってしまう程度には俺は赤司と身体を重ねているのだという事実が浮き彫りになり恥ずかしさが込み上げてきて舌打ちしたい気持ちになる。




以前リクを頂いた「黛さんに対して独占欲と執着心の強すぎる赤司が、玲央姉から軽いセクハラ(ふざけ半分)にあった黛さんをたまたま目撃して暴走しちゃう話」の導入部…でした…本当にすみません
黛くんを泣かせられずというか泣く黛くんを想像出来なかった、未熟者です



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