いつも通りきつい練習が終わり、皆めいめい帰路につく。冬休みに入ってからもバスケ部の練習はあったが、年末年始は学校自体が完全に閉まるためその間は部活動も当然休みになる。今日はその最終日だった。
本日の鍵当番だった俺は、いつも一緒に帰る河原と福田には先に帰ってもらって、誰もいなくなった部室の戸締まりを終えたところだった。職員室に鍵を返し、ようやく帰るべく歩いていたら、何やら校門の辺りがざわついている。なんだろうと思いそちらへ首を伸ばすように見た視線の先にあったのは、この薄暗い中でも人目を引く、鮮烈なあかいあかい髪。そう、忘れたくても忘れられない衝撃的な出逢いをした、キセキの世代の一人、赤司征十郎が、おそらくは洛山高校の制服なのだろうブレザー姿にマフラーを巻いて、いくつか星の散らばり始めた寒空を見上げながら立っていたのだった。
考えるよりも早く体は動いていて、俺は赤司のもとへ駆け寄っていた。

「降旗」

それにいちはやく気付いた赤司は、俺の名前を呼んだあと色違いの瞳をこちらに向けてやわらかく微笑んだ。

「っ赤司…!なんで、ここに…」
「君に会いたくなったから来たんだ」
「な、え…っあの、」
「…ふ、赤くなった」

その直球な言葉が照れくさくて耳まで一気にぶわっと熱くなった。顔も整っているうえに身のこなしも洗練されている赤司は、気障なことを言っても様になるから困る。中学時代はモテていたとか 黒子からちらりと聞いたことがあるが、納得せざるを得ない。
しかしこのまま門の前に二人立ち止まっていては目立ってしまうとおもい、とりあえず歩こうか、と促す。暗くなっていたから、人には見えないだろうとふんで赤司の手を遠慮がちに握ったら、赤司も指を絡めてつなぎ返してくれた。俺より長いその指先はびっくりするほど冷たくて、俺はいつもより赤司の手を強く握る。
俺に会うためにわざわざ京都から来てくれて、しかもこんな寒い中で手を冷たくしながら待っててくれたのかとおもうと胸がきゅんと軋んだ。嬉しい。

「ありがとう、赤司」
「いいんだ、僕が来たくて来たんだから」
「うん、会えてうれしい」

体もきっと冷えているし温かいものでも飲んだらいいだろうと考えた俺は、赤司を連れて駅前のファーストフード店に入った。
時間帯のせいか、会社帰りのサラリーマンや学生たちなどで店内はすこし混んでいた。
運よく空いたソファー席を確保し、赤司を座らせて俺は注文を取りにいこうと財布を持った。

「俺買ってくるから、赤司は座って待っててくれな」
「ああ、じゃあお言葉に甘えるよ。ありがとう」

京都なんて遥か遠くから来てくれて、さらにはずっと寒空の下で立って俺を待ってたんだ。疲れてるに決まってる。
赤司にはいつも好きの気持ちやうれしいことを沢山もらっているから。だから俺もそんな赤司に気持ちを返したい。






オチなんですが、突然きた赤司が「ただ君に会いたかったんだ」と微笑み本当に会って少しお茶だけしてすぐ京都帰る(だとなんもおもんないので)→今から帰るのしんどいだろ、やっぱり家に泊まっていけよ、とフリが赤司を自分の家に招く(フリの親はベタに旅行とか?)→俺うそついた。ほんとはせっかく久しぶりに会えたから、もっと赤司と一緒にいたくて、引き止めた。ごめん。→いいよ、僕だって実は君が引き止めてくれるのを待ってたんだから。ってあまーい!なオチ
もしくは↑の途中からフリが遠慮して自分の気持ちを隠して(本当はもっと一緒にいたいけど赤司に迷惑かけちゃいけないとか思って)ありがとうってお礼もそこそこ(お茶した分くらいは俺が奢るからとかそんな)に赤司を半ば無理やり京都に帰しちゃって、それ以来赤司からの連絡が一切なくなって、怒らせたかなとかもう愛想尽かされたんだろうかとかでもこっちから連絡入れるなんて図々しいよなとか落ち込む日々を過ごすフリ
赤司は赤司でいきなり会いに行ったのはやりすぎたかとか色々考えて、しばらく距離を置けば落ち着くかもと連絡を控えてて(フリの落ち込み事情は勿論知らない)、でもいつもよりらしくない赤司にレオ姉が気付いて、悩むならもう一度会いに行けばいいじゃない。きっと光樹ちゃんも会いたがってるわよって言われて、意を決して二週間後にもっかい会いに行く
そんでまた校門の前で待つけど、今度はフリが赤司の顔みた瞬間逃げ出して(前赤司を拒むみたいに無理やり京都に帰したこんな自分が赤司に会う資格なんかないんだ的な理由)、赤司はやっぱり会いに来たのは間違いだったかとか思うけど体が勝手にフリを追っかけて スタミナと脚力の差でフリを後ろから抱きしめる形で捕まえる
で「っ…やっと…さわれた…」とか息切らしながら言って
そのあとお互いのすれ違いと誤解が解けて、告白しなおして、フリが半泣きで最後はキスで締める、みたいな
よくある少女マンガ的な感じにしたかったです





×
「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -