※宮地さんと後輩の女の子
※名前変換なし





数学の先生から出された課題がどう頑張っても解けそうになくて、正直言ってすごく困っていた。提出までの期間が短いくせになんでこんなに量を出すのかと文句を言ってみても、課題は返事さえせずただそこにあるだけだ。

そうして頭を悩ませていたら、わたしがマネージャーをつとめる我が秀徳高校バスケ部の中でも、ルックスのよさと口の悪さのギャップが断トツなことで有名な宮地先輩が、「なんだ、珍しく難しそうな顔して…っておまえそんな問題も解けねえのかよ?馬鹿か?見せてみろ」と色々棘が含まれた救いの手らしきものを投げ渡してくれたのだった。
本来なら先輩は受験生で忙しいのだから、いいえ大丈夫ですと断るのが正しい後輩の姿なのだが、マネージャーになって以来こっそり片思いしている先輩と会話できるチャンスを手放すなんてことはわたしにはできなかった。

「…だって難しいんですもん」
「俺は解けたぜ〜?」
「先輩を基準に考えないでくださいよ」

問題集の課題のページをわたしに見せつけながら、にやにやと得意げな顔をする先輩。むっとしながらも先輩がわたしの方を見てくれているということにドキドキとうれしさを隠せないのがなんとも悔しい。恋愛は惚れたほうが負け、だなんて誰が言ったのだろう。まったくその通りである。

「ま、うちのマネージャーが馬鹿じゃ困るからな。今は時間ねえから放課後、図書室来いよ」
「え、教えてくれるんですか!?」
「…あ?嫌とか言うんじゃねぇだろうな」
「っぜったい!行きます!」

言葉の端々に暴言が混じりながらも、教えてくれるというんだからやっぱり先輩は優しい。わたしは先輩からもらった約束に胸を踊らせながら、放課後を待った。

***

終業のチャイムを聞くが早いか、わたしはかばんを掴んで教室を飛び出した。図書室は三階だから、階段を上らなくてはいけない。息を弾ませながら、図書室までの道のりを急いだ。

「お、来たな。髪ひでぇけど」
「だ、だって…!せんぱい、待たせるの悪いじゃ、ないですか…っ!」
「俺のほうが早かったけどな」
「う…すみません…」
「まあその心意気は認めてやるよ、いいから早くしろ」

乱れた息を整えながら先輩の隣に座って、問題集、ノートとペンケースを広げる。先輩もシンプルなペンケースからシャープペンシルを取り出して、次にメガネをかけた。

「…先輩、眼鏡かけるんですか?」
「ん?あぁ、勉強とか板書の時だけな」

なにそれずるい。なんでそんなレアな姿をわたしに見せてくれるんですか。焦げ茶のセルフレームが先輩のはちみつ色の髪にとてもよく似合っていてめちゃくちゃかっこいい。今から勉強を教えてもらうっていうのに、もう頭の中が新たな先輩の姿でいっぱいで、難しいことなんかこれ以上入りそうにない。貴重な眼鏡姿が見れたうれしさで挙動不審になりそうだ。
先輩はわたしが先輩のことを好きだと知ってるんじゃないのかと思ってしまうくらい、先輩の行動の何もかもがわたしの胸の奥を焦がしてたまらなかった。

「おい、どうしたボーッとして」
「ほぇ…!?」




大まかには宮地さんに勉強を教えてもらう夢主が、途中で気分転換に飲み物を買いに行き、帰ってきたら宮地さんがうたた寝している現場に遭遇、その寝顔をいつもより幼く見えて可愛いなあと思いながら眺めてふふっと笑う夢主…という流れでした



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