地平線の向こうへ沈みきる直前の低い夕日が差し込む寮の一人部屋。そういえば帰宅してからエアコンを付けるのを忘れていた。京都の冬、特に山の方は雪が降るほど寒いというのに。
しんと冷えた空気の中、ぴちゃぴちゃという濡れた音と、熱を孕んだ浅い呼吸だけがやけに大きく響いては鼓膜を揺らしていた。

「っ は…、!っ…ん ぁ…!」

俺は今、部屋に戻ると何故か待ち構えていた赤司に突然両手を縛り上げられ、抵抗もむなしくズボンを下着ごと脱がされてフェラをされていた。

「ん、ぁ、かし…!やめ 、…っ」

誰に教えられたわけでもないのに、喉の奥から湧き上がる甘く艶を含んだ嬌声に吐き気がする。これが相手のものなら構いやしないのに、残念ながら自分のものだ。しかし腰に響くじくじくとした甘い痺れが、この状況から逃れるという選択肢を奪っているせいで、今の俺は赤司を全力で呪うことぐらいしか出来ないのだった。

熱い口の中でざらついた舌に擦られたあと、柔く甘噛みされて、太腿の内側がびくりと震える。つうと裏筋を舐められてから指先で袋を揉みしだかれて、じっとりした刺激が背を這い上がった。
両手が縛られていて口を覆うことが叶わないために、だらしなく涎が垂れている上、この情けない声がすべて赤司の耳に入っているという事実が何より忌々しく、恥ずかしかった。
再び深く咥え込まれたとおもったらすぐに口をすぼめて、その緩急をつけた責めに俺は急激に絶頂まで追い上げられた。目の奥で白い星が散ると同時に全身が大きく痙攣して、一際声が高くなった。

「ふ、…ぁ、っあああぁぁぁ…!」

直後、体にのしかかる倦怠感に耐えきれず、上体をベッドに倒してはあはあと上がった息を整えていたら、赤司がこちらに目線を寄越しながら、頬張っていた俺の性器を見せつけるようにずるりと口から出した。吐き出した精液と唾液に塗れたそれは、部屋の湿った冷たい空気に触れて頼りなくひくんと震えた。

汗で湿って額に張り付いた俺の髪を、指ですいと掬って横に流してから、赤司は満足そうに言葉を紡ぐ。

「今の黛さん、すごくそそりますよ」
「…っ、死ね」
「…ふむ。元気みたいですし、次は後ろで気持ちよくなりますか?」

にやりと口元を歪めた赤司は襟元すら乱れていない。それが悔しくてささやかな悪口で応酬してやったところ、どうやら俺はうっかり踏み間違えたらしい。
がしりと俺の肩を力強く掴む赤司の表情は、獲物を見つけ、今狩らんとする獅子のそれだった。緋と芥子を湛えた覚めるような瞳はいきいきと輝いていて、俺は青ざめるよりほかなかった。

どうすれば赤司の小憎たらしいくらいの余裕を崩せるかについて考えようとしていたが、それはどうやら叶わないままになりそうだと予感して、俺はため息をついた。







青碧に染まって
(もう戻れない)




急につるりと出来上がった赤黛エロです。エッチな目に遭わされる黛さんがほしくてほしくて喉から手が出る。




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