※マークちゃんがヴァンプ
※途中から+尻切れ
※それでも許せる方だけ










マークのやわらかい翡翠が、不安げに揺れる。

「マーク、怖がらないで、大丈夫だから」
「…っでも、…」

俺の言葉にまだ納得がいかないのか、眉を下げたまま、おろおろと視線を彷徨わせている。

いつもはみんなを元気付けて引っ張って、自信に満ちた態度でフィールドに立つキャプテンなのにこういうときはすごくネガティブで、抱きしめたら壊れてしまいそうで触るに触れない、まるで怯えるうさぎみたいだ。

大丈夫だよ、マーク。
俺はね、どんな君だって受け止められるよ。
だって君がこうして男の子でも、例え人間じゃなかったとしても、マークはマークじゃないか。
俺は「マーク」のことが好きなんだから。

「ミーは大丈夫、マークだっていつも言うじゃないか、『これくらいの痛み、受け止められなきゃいけない』って」
「それは俺がキャプテンだからだろ、でもディランは…」

俺を極度に心配してくれてるらしい、まだ首を縦に振ろうとしない。
俺ってマークからはそんなに頼りなく見えるのかなぁ…
そんなことを考えて小さく、溜めた息をはいた。
そのため息にマークがびくりと肩を揺らす。
俺より少し、狭い肩幅のマークがいっそう小さく見えた。
違うよマーク、俺が呆れたのは君にじゃないんだ、君にそこまで心配をかけさせるような頼りない自分になんだ。
でも今のマークはすごく自信がなさげだから、これを言葉にして伝えてあげないとダメだ。
こういう時にばかり、いつものように、聡く感じ取ってはくれない、恋愛に奥手すぎる彼は、ほんのちょっぴり厄介だ。

マークを少し安心させて、ちょっとずつ心配をほどいていく。
自分の身にはてんで無頓着なのに、人のことは過ぎるくらい心配する、その気のひとかけらでも自分の身に向けてほしいよ、マーク。

「ほら、さっきも言ったけどミーは大丈夫だよ、だからマーク、お願い」
「ぅ……」

マークは「お願い」に弱い。
だからといって都合よく利用はされないけど、たまに心配になる。

「…わかった…、けど、おまえがちょっとでも嫌だとか無理とか思ったらすぐやめるからな!」
「うん」
「…いくぞ、」
「いいよ」

だからマークはわかってないよ、俺がマークに嫌だなんて言うはずないのに。

マークが俺の手をとる。
両手で、まるでひよこでも包み込むようにやさしく。
戸惑うように一瞬俺を見上げてきたから、アイガードを外してにこりと笑ってみせた。
するとマークは本当に安心したようだった。

マークが俺の人差し指を口に含む。
ちらりとあかい舌が見えて、心臓がどきりと音をたてたのをはっきりと感じた。
慈しむように優しく舐められて、徐々に俺の指にとろりとした透明な液体が塗されていく。

「っ…んん…、は、…っ、んむ…」

部屋が妙に静かで、唾液の音とマークが時折小さく漏らす声や息遣いがやけに響くからつい色っぽい方に頭が働いてしまう。




続く かな い






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