パチン。明かりをつけないままのオレンジに染まる室内に響く乾いた音。ピアッサーをゆっくりずらして恐る恐る見てみると、剣城の左耳には小さな穴が開いていて、すこし血が滲んでいた。

「…痛いか?」
「いや、大丈夫だ」

剣城は気にした風もなくあっさりと答える。冷水に浸してかたく絞ったガーゼで血をそっと拭ってから、消毒用のジェルを塗り、穴を安定させるためにスタッドをはめて、キャッチャーでとめた。

「よし、終わったぞ」

そう言いながら剣城からすこし離れる。耳朶に光る小さな黒曜石のピアスが抜群に似合っていて、否応なく心臓が高鳴った。鼓動がうるさくて、剣城に聞こえるんじゃないかと思うと、余計に顔が熱くなる。恥ずかしさで剣城の顔を直視できずにいたら「こっち、向けよ」と言われた。ゆっくりと顔を上げたら、剣城の細長い指に顎をすくわれて、ふれるだけのキス。

「ありがとな、大事にする」

あっという間の出来事に頭が追いつかなかったけれど、今されたことをゆっくり思い出してみたらしばらくは人前に出られないくらいに顔が熱くなってしまった。
お返しに今度剣城にアイスクリームを奢らせてやる、と俺は心の中でつぶやいて、部屋から出た剣城を追った。







10/10京白の日記念!
ピアスはロマンですピアス大好きです何を隠そうわたしはピアスフェチです
京白の日記念フリーでした
持ち帰って下さった方、いましたらありがとうございました!



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