※白竜が女の子
※みんな雷門中生の学パロ


「…白竜、今度の日曜練習休みだろ。だから…どっか行かねえか、…二人で」

突然すぎる剣城からの言葉に、俺は一瞬思考が止まってしまった。
色恋には人一倍疎いと言われる自分だが、この誘いは世間一般で言うところのデートというものなのではないかと思い、急に緊張してしまう。だって、彼氏という立場である剣城が、頬を赤くして俯きながら二人で出かけようなどという言葉をくれるなんて初めてのことだったからだ。あまりに嬉しくて胸の鼓動が一気に早まった。

「えっ!あ、あの、その…」

こっちまでつられて赤くなってしまい、言葉をうまく紡げない。どうして言葉とは大事なときに限ってちゃんと出てこないのだろう。

「…都合悪かったなら、ごめん」
「あ…!そうじゃなくて!」
「う、嬉しくて…剣城からこんな誘い、初めてだったから…」

ゆっくりとひとことずつ、剣城に向かって気持ちを届けるように口を動かした。剣城がこちらを見ながら、急かしたりしないで俺のつたない言葉をちゃんと聞いてくれる。いつだって、俺が渡す気持ちを受け止めてくれる。

「…そうか、なら、よかった」

頬を指先でかるくかきながら剣城がわずかに微笑んだ。

「じゃあ、どっか行きたいとこ考えといてくれ」
「…、うん…!」

あまりのうれしさに頬が熱い。
胸が高鳴ってそわそわと落ち着かなかった。踵を返して自分の教室へと帰っていく剣城の背中をぼんやりと見送っていたら、ふいに背中から声が聞こえてきた。

「デートだなんてよかったね、白竜」
「っシュウ!気配を消しながら近づいてくるのはやめろと…!」

驚く俺をよそに、翡翠色の玉飾りでくくった髪を揺らしながらシュウがにこりと笑った。シュウは現れる時いつも気配がないので、多かれ少なかれ驚かされる。ていうか俺と剣城の会話を聞いていたのか。

「ふふ、ごめんごめん、ただでさえ目立つ君たちが廊下のど真ん中で話してたものだからつい気になって」

丸聞こえだったよ、とあっさり言われて、もっと人の少ない場所で話すべきだったと今さら恥ずかしくなった。

「気付かなかったの?まぁそういうとこもかわいいけど」
「あ、あんまり…からかわないでくれ…」
「褒めてるんだよ。デート、上手くいくといいね。じゃあ」

シュウは至極楽しそうにそう告げてから、挨拶もそこそこにひらりと片手を振りながらあっという間に人の中へと馴染んで見えなくなった。それを見届けたところで俺を急かすように次の授業を知らせる予鈴の音が鼓膜を揺らした。


***


次の授業は社会だったけれど、先ほどの剣城の表情や言葉を思い出しては嬉しくてたまらなくなった。身体中がふわふわと落ち着かなくて、胸のところが甘酸っぱく締めつけられるのが心地いい。教師の言葉なんて耳の上を滑るように頭に入らなかった。
今日帰ったら当日にどこに行こうか、どんな服を着ようか、早々に計画を立てなくては。一人ではちょっと不安だから、青銅やシュウに相談してみよう。
これからデートまでの日々を思って、心を満たしていく甘い気持ちに自然と笑みがこぼれた。






恋は砂糖でできている(恋する瞳はかくも美しい!)





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素敵な企画、「愛しの白百合」様に
提出させていただきました!

剣城くんと恋する白竜ちゃんはきっと幸せでとてもかわいいんだろうなという思いを詰め込んで書きましたが、すこしでもそれが伝われば嬉しいです!

この企画を立てて下さったくろみつさんへ多大なる感謝を
込めて、ささやかながらこのお話を捧げさせていただきます
この度は参加させていただき本当にありがとうございました!
白竜くんに幸あれ…





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