カラフルな包みを開けると、硝子玉のような透き通った小さな水色のものがころりと出てきた。食べ物にしては大層変わった色をしている。本当に食べられるのかどうかを確かめるために、鼻先を近づけてみると甘い匂いがした。

からころと小気味よい音をたてながら口の中を移動するそれ。舌の上にのせると、しゅわしゅわとちいさな泡が弾けるような感覚とともに優しい甘みと爽やかな香りが鼻へ抜けた。たしか天馬はこれを「そーだ味のきゃんでぃ」とか言っていたっけ。変わった名前だなあと思ったけれど、なかなかにおいしい。
機嫌よくこの「きゃんでぃ」を楽しんでいたら、白竜が横から話しかけてきた。

「シュウ、さっきから何を食べているんだ」
「きゃんでぃだよ、天馬にもらったんだ」

僕の答えにふうん、と頷いて空を見上げる白竜。同じように僕も空を仰いでみる。天馬にもらったこのきゃんでぃも、この空みたいな色をしていた。
ちらりと隣を盗み見たら、まだ空に視線を投げたままの白竜の横顔があった。白竜の目は空とは反対に赤い。今日はとてもよく晴れているので空が眩しいのか、白竜はすこし目を細めていた。髪と同じように薄い色の睫毛が揺れて瞳を透かしている。それがとても綺麗で、なくしたはずの胸の鼓動が速まった気がした。

そういえば、天馬にもらったきゃんでぃはもう一つあったな。赤い包み紙でたしかこっちはいちご味だった。ポケットを探ると思った通り小さなかたまりはすぐ指先を掠めた。それをつまみ出して白竜へ差し出す。

「はい、白竜も食べなよ」

僕の言葉が相当珍しかったのか、きょとん、と目を丸くする白竜。お目にかかったことのない表情に新鮮さを感じる。真っ赤な目はいちごに似ていて、けどいちごよりも透き通っていて綺麗だった。

「…あり、がとう」

ふわりと顔をほころばせて、言い慣れないながらもたどたどしく口を動かして僕へのお礼を言ってくれた白竜はかわいらしかった。
やわらかくとろけた瞳が日の光を受けて滲む。白竜、君は笑うとこんなにも暖かいんだね。

「どういたしまして」

白竜の笑顔に応えられるように、僕も今までで一番の笑顔をつくって返事をした。
あともうすこしだけ、この穏やかな時間の流れを、白竜のあたたかさを感じられますようにと心の中で願いながら。





ストロベリーラプソディ







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