きゃらきゃらと楽しげに会話しながらかわいらしい格好でそこの通りを歩く女子のそれみたく手入れされているわけがない、細くて柔らかなふわふわとあちこちを向いた髪の毛だとか、いい年のくせにおどおどしていて無駄に腰が低いところだとか、身長も肩幅も俺とあまり変わらない上に華奢なところだとか、そのくせ時々俺を子供扱いしてなでてくるところだとか、頬や腰に触れられるのに極端に慣れていなくていまだに少しびくっとするところだとか、時折、瓶底眼鏡の下から感じる真っ直ぐで迷いのない強い視線だとか。挙げていけばきりがないほどに思いつくこいつの特徴。

思えば俺はもう既に落ちていた。相手を惑わせ箱庭へ閉じ込めたら、最後はとびきりの悪夢で突き落とすのが俺の常套手段だったのに、人をあざ笑う道化師は愛機を真っ直ぐに信じて戦うこいつには適わなかった。けれど不思議と、それを悔しいと思わなかった。

先に思ったのも先に見つけたのも、いつだって俺の方。だからそのうちこいつに飽きられて愛想を尽かされやしないかと感じながら、こいつを失わないように逃げ出してしまわないようにつなぎ止めようと必死になっている俺は、どうしようもなく臆病で聞き分けのないただの子供なんだろう。

道化師が本当にあざ笑っていたのは、他でもない、この自分だったんだ。





恋とは二人で愚かになることである



何を思ったかダン戦初小話がダイユになった
ツイッターで盛り上がったんです…




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