思えば最初から、こいつには振り回されてばかりだったんだ。

初めてミーティングルールに入ってきたときも、入部テストに受かって正式に入部が認められたときも、円堂カントクが来たときも。馬鹿正直にサッカーを信じて、期待に目を輝かせて、まるで犬っころみたいに嬉しそうにして。

かと思えば試合の時は真面目な顔になって、その青い瞳に見つめられると胸がすごくざわついた。怒りのような、恐れのような、心の奥に押さえつけてる衝動を見透かされているような不安定な気持ちになる。俺の周りだけじゃなく中までもがこいつの言葉や行動にかき回されていく。
今まで仕方ないと諦めて自分を納得させてようやく均衡を保っていた俺のサッカーに、こいつは無遠慮に入りこんできて安寧を崩していった挙げ句、本当のサッカーをしましょうなんて抜かすんだ。
俺をあの真っ直ぐな目で見つめて、噎せ返るくらい甘ったるい声で、子供体温のあったかい手で俺の骨張った冷たい手を握りながら「倉間先輩、」って呼んでくるんだ。

ああ、イライラする。
やっぱり俺は大嫌いだ。
俺がずっと前に置いてきたものを腕いっぱいに抱えて、明るく笑うこいつが。




君ときどき、嵐(大きな風に心をさらわれそうで、落ち着かないのです)

サッカーに対して正直な天馬ちゃんに、自分が変えられてしまうんじゃという恐れや羨みといった複雑な感情が渦巻いて、結果的に気に障るみたいなそんな遠回りな感情を抱く倉間が書きたかったんですが、ただ倉間が天馬ちゃんdisってるだけになった…

と、説明してるようじゃまだまだですね…!
書かせていただきありがとうございました!




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