ほんのちょっとした夢ネタ 大阪弁の女の子と木吉 2013/10/12 07:49 親の転勤で、大阪の高校から誠凛高校に転入してきてはや一週間。大阪弁はそう簡単には抜けないというか、むしろ標準語でしゃべる気があまりないあたしは、周りが周りなだけに吉本のピン芸人のようでなかなかに浮いていた。 でもそんなことは、バスケ部のマネージャーとして毎日大変ながらもたのしく過ごしているからちっとも気にならなかった。 今日も授業が終わり、部活のために体育館に向かおうとするあたしを、同じクラスの木吉くんが呼び止める。しかしいつ見てもでっかいなあ。何食べたらそないでかなるんやろ。 「よお、一緒に行かないか」 「うん、ええけど…どないしたん?」 木吉くんはとても大きいので、話すときかなり見上げなくちゃならなくて、最初は一生懸命首を疲れさせながら見ていたのだけれど、最近彼はさりげなくあたしの首が疲れないくらいまで屈んでくれるようになった。表情や言葉からもこの人が優しいことはわかっていたけど、行動もとても優しい。 「いやぁ、大阪弁って普段テレビとかでしか聞かないから新鮮でな?もっと聞かせてほしいなって思ってさ」 「ほんま?あたしの大阪弁なんかでええんやったら毎日これでしゃべるで?」 「『あたしの大阪弁なんか』じゃなくて、お前の声で話してくれる大阪弁が聞きたいんだ」 「…それ、あたし喜んだ方がええんかな?」 真剣な表情で格好いいことを言ってくれていると思ったのに、この天然ボケ男くんたら、聞きたいんはあたしの大阪弁かい!と悲しいかな大阪人の性で盛大にツッコミを入れそうになった。 なんやねんこの会話。むしろなんでやねん。喜んだらいいのか突っ込んだらいいのか、微妙な気持ちになりながら、わたしは木吉くんと並んで部室へ急いだ。 日向くんが以前この部にはツッコミが足りないと嘆いてたことがあったとリコちゃんから聞いたので、わたしのツッコミが今後日向くんの役に立つ日が来たらいいなと思った。 ×
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