「突然ですが質問です。私のどこが魅力的だと思いますか」
「…と、申しますと」
「そのまんまの意味です。さあノボリさん、遠慮なく」


スーパーシングルトレインを勝ち進みノボリの待つ7両目までやってきたトウコはなぜかそんなことを言い始めた。ノボリははて、と首を傾げながらもここまでやってくるトレーナーは少なく、トウコとは毎日顔を合わせているような仲であり、まあ少しはいいでしょうと相棒のモンスターボールを構えたままトウコをじっと見つめた。


「…クダリに訊いてもよかったのでは」
「なんとなく、ノボリさんな気分だったので」
「それはどういう意味です。…ふむ、そうですね。どこを取っても魅力的だと思いますが」
「投げやりですか」
「滅相もございません」


たとえばバトルセンスやパートナーへの心遣いといった内面の要素からその凛々しい瞳やふわりとした髮や、バトルにお勝ちになったときの笑顔、どれも可愛らしいものです。

つらつらと恥ずかしげもなく並べられる文句にトウコは顔を赤くした。訊いたのは自分だというのに。慌てて帽子を目深にかぶるも隠せている気がしない。嬉しい反面、ここまでくると羞恥を感じた。


「よくそんなこと言えますね…」
「魅力あふれるものに魅力的だと言って何が悪いのです」
「ああもう!バトルしましょうバトル!」


ボールから出てきた相棒は楽しそうに鳴いていた。




【シグナルに埋もれ】







20140104





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