しとしと。夜の雨が静かに降っていて、サイユウシティのチャンピオンロードを抜けた先、ポケモンリーグに降り立ったときにはずいぶん濡れてしまっていた。

ジョーイさんにパートナーたちの回復をお願いするために声をかければ、申し訳ないことにバスタオルまでもらってしまって、さらにはいつの間にかリーグの裏口まで誘導してもらっていた。一度殿堂入りしているせいか顔がきいてしまうようだ。

いま思えば本当に不思議なもので、頭からかぶったバスタオルの隙間からみえていた冷たい通路では誰にもすれ違わなかった。ひどく静かで、ひんやりとしたその空間は、ハルカを呼んでいるような気さえする。でもきっと実際は、呼ばれてるわけなんかなくてただただハルカがその先にいる彼を求めているんだということを心のどこかがわかっていた。


「ハルカちゃん!?」
「…ダイゴさん」


遠くのほうでアイスブルーの髪が揺れた。驚いたように慌てて駆け寄ってくるダイゴのことを見ていたら、肺が呼吸するのを放棄したような心地がした。うまく息が吸えない。咽喉に何か、呼吸することよりもっと大事で愛しいものがつまっていた。


「どうしても、ダイゴさんに会いたかったの」




【闇深いうちに済ませて】






Title.S*E
20140301



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