ベルは、女の子だ。

そんなこと今さら確認するほどのことのないように思える。だけどそれではだめなんだ。
チェレンが昨日言った「いいかい、ベルは女の子なんだ」というあの諭すような言葉。当たり前すぎて今まで一度も考えなかったようなことを、まるで絶対に忘れてはいけない最重要の伝言を伝えるような神妙な顔。おかげでそれの意味を噛み砕くのにけっこうな時間を費やしてしまった。

そうだ、ベルは女の子なんだ。
あまりにも存在が近いから意識しなかったけれど、ぼくやチェレンとはぜんぜん違う。きっと今は分からなくても、時を重ねれば重ねるほどに思い知るのだろう。


「…本当、今は全然、わからないけど」
「なにか言った?トウヤ」
「ううん、なんにも」


そうなの?と小首をかしげてからふにゃっと笑ったベルは変わらずにいてくれるのだろうか。ぼくやチェレンは、変わらずにいられるのだろうか。




∴異変と普遍と






20131112



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