◎こくはく@会話文中心


アルカヴェ@会話文中心


「なあ、アルハイゼン、告白されたのか?」
「……それがどうした」
「いや、頬、すごい綺麗にもみじができてるぞ。今、冷やすもの持ってくる」
「着替える」

 アルハイゼンはモテる。カーヴェは氷嚢を用意しながら首を傾げる。アルハイゼンの興味を引いたと思うと、なぜかその人はアルハイゼンが好きになる。カーヴェもまたその口だった気がするが、今では、「なんでこいつがモテるんだ?」と思うばかりだ。
 部屋着になったアルハイゼンに氷嚢を手渡して、大人しく冷やしているのを確認してから、夕飯の仕上げをする。たまたまミートロールを作った日でよかった。アルハイゼンの機嫌をとりやすい。まあ、カーヴェが料理に凝りたい時に作る定番だが。
「で、今回はどうやって振ったんだ?」
「俺にはカーヴェがいる」
「いつもの聡明さはどうした。それ、明日には僕が襲われるだろ」
「きみにはメラックがいる」
「きみには聡明な頭があるだろ。まったく、メラックには怪我させないように指示をしておこう」
「俺が平手打ちならきみはアッパーか?」
「きみねえ、か弱い女の子にそんなことできないだろ」
「俺は平手打ちだが」
「女性は時に過激だな」
「いつも変わらない」
 アルハイゼンはもごもごとミートロールを食べている。美味しそうでなによりだ。
「というか、きみに恋をする女性たちはこぞって僕に勝てないって言い始めるんだよな」
「当然だな」
「威張るな。何がどうして当然なんだ」
「面白いだろう」
「なにが?」
「俺ときみは面白いと旅人が口にする」
「ああ、あの子……来週あたりにパイモンと一緒に訪ねてくるって」
「そうか」
「パイモンが課題を提出するらしい。きみは何してるんだ」
「彼女ならばできる」
「なにがきみにそう走らせるんだ? パイモンはきみの娘か? 似てるよな」
「彼女ならきみに似ている」
「はあ?」
 ところで、とアルハイゼンは言った。
「おかわり」
「用意してあるからな」


06/23 20:15
- ナノ -