◎ベッドルームはひとつ
アルカヴェ
アルハイゼンが指を撫でる。手袋の隙間に指を入れて、すりすりと撫でられる。カーヴェはスケッチをしていた手を止めた。
「どうしたんだい」
先輩に甘えたいのか。そう言えばアルハイゼンは目に見えて機嫌を悪くする。カーヴェは笑った。
「はは、そう怒るなよ」
「きみは事実として先輩だが、今ここでそれを求めてはいないよ」
「分かってるさ」
「ならば今晩はいいか」
用事なら明後日までないだろう。そう決めつけるように言われたが、合っているので、カーヴェはアルハイゼンの頬にキスをした。
「きみの素直さに免じて、今晩の僕を好きにしていいぞ」
「きみのそういうところは危ういと何度言えばわかる」
「さあな」
可愛い後輩。そう笑えば、アルハイゼンはかぶりつくようなキスを口に向けた。
・・・
翌朝。カーヴェはうとうとと目覚める。アルハイゼンは本を読んでいた。起きたのか。そう言われて、カーヴェは外がまだ白んでいるばかりだと気がついた。
「きみ、寝てないのか」
「いや寝ていたよ」
「本を読んでるくせに」
「たまたま早くに目覚めたから読んでいただけだろう」
「そういうことにしておくか……」
じゃあ今から僕と寝てくれるかい。そう問われたアルハイゼンは、ゆっくりと瞬きをしてから、息を吐いた。
「分かった」
「うん。おいで」
そうして二人でまた、ベッドに沈む。
03/01 20:47