◎成長痛/現パロ/12×14/ショタおに🌱🏛


🌱🏛/現パロ/12×14/ショタおに🌱🏛のシリーズです/両親生存ifです/幼馴染ifです/掌編


 カーヴェは身長が伸びていく。
「いてて、」
 手足をさする彼に、アルハイゼンはそっと手を重ねる。
「成長痛だろう」
「うん。アルハイゼンもきっと経験するだろうね」
「ずいぶんと、背が高くなったな」
「そうだね。寂しいのかい?」
「寂しくない。俺は、もっと大きくなる」
「アルハイゼンは手も足も大きいから、背が伸びるよ」
「あまり根拠にならない」
「だって未来なんて分からないだろう?」
「うん」
「だったら、少しぐらいは迷信じみたものを受け止めてもいいさ」
 ね、と笑うカーヴェに、まだ幼いアルハイゼンはこくりと頷いた。

 甘いお菓子とミルクコーヒー。二人で部屋で話す時間を、カーヴェは中学生になっても作ってくれる。アルハイゼンはそれが嬉しかった。カーヴェは友人や知人が多い。それでもアルハイゼンを選んでくれたのだと、優越感が生まれる。
 悪いこと、かもしれない。カーヴェの邪魔かもしれない。でも、アルハイゼンの我儘だって、聞いてくれてもいいじゃないか。
 アルハイゼンは知人ぐらいならそれなりにいる。友人になるには、アルハイゼンは彼らとうまく話せなかった。地頭の違いさ。カーヴェはからからと笑っていた。
 いつか、それを受け入れられるよ。だから、今は君の好きにすればいい。
 カーヴェはそんな風に言って、アルハイゼンの頭を撫でてくれた。まだ子どもらしさの残る、中学生男子の手だった。
 アルハイゼンと対等に話せるカーヴェは、アルハイゼンのように苦難にぶつかったのだろうか。アルハイゼンは大したことではないと思うけれど、優しいカーヴェならどうだったのだろう。
 苦しかった? 辛かった?
 そうは、聞けなかった。カーヴェとただ隣に並べる幸福を噛み締めたかった。
 余所者に邪魔されたくなかった。その思考までも、二人ならば、二人で完成させたかった。
 アルハイゼンがいつか友人を作ったら、カーヴェはどうするのだろう。
 身を引くことだけはしてほしくない。アルハイゼンは、カーヴェが好きだ。この感情は恋愛感情だとはっきり言える。友愛なんかじゃない。もっと、甘くてどろりとした、仄暗さもある恋愛感情だ。
「アルハイゼン」
 あまり考え過ぎないで。カーヴェはそう言って、額にやさしいキスをくれた。


06/30 09:24
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