◎シティ内のかわいいこ


アルカヴェ/にょたゆり


 ぷんぷんと風スライムのようにカーヴェが怒っている。
「アルハイゼンはかわいい! 僕の目に狂いはない!」
 さっきの男性は見る目がない。カーヴェは、アルハイゼンに向けられた心無い言葉に憤っている。アルハイゼンはそんな彼女と結ぶ手の温度に嬉しくなる。
「カーヴェ、もういい」
「でも!」
 きみはほんとうにかわいいんだぞ。カーヴェはそう、愛おしそうな目を向けた。アルハイゼンはその視線を一身に受けながら、そっと耳元に口を寄せた。
「早くカフェに行こう。限定のプリンがあるんだろう? 売り切れるぞ」
「そうだな。行こう、僕の可愛いアルハイゼン」
 ふふんと笑って先を歩こうとするカーヴェに歩幅を合わせたのだった。


11/07 20:55
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