◎日常
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アルカヴェ/にょたゆり/日常
「アルハイゼン! ぎゅってしろ!」
「プライドをどこに投げ捨ててきた?」
だってえと、カーヴェは酒場でめそめそと涙する。
「アルハイゼンに好きな子がいるって聞いたから思い出に」
「落ち着け酔っ払い」
「思い出だけでいいから」
「思い出だけにするつもりはない。店主、支払いだ」
「アルハイゼン、ぎゅー」
「家に帰ったらだ」
「帰ったらしてくれるのか?」
「帰ったら抱き潰す」
「やったあ」
ケラケラ笑うカーヴェに、アルハイゼンはまた記憶がないなこいつと柔らかな体を抱き上げる。楽しそうなカーヴェは僕の後輩は美しく立派になったなあと笑っている。
それが少し哀愁と寂しさに似ていた。だからアルハイゼンは酒場を出て、月夜の道でぎゅうっとカーヴェを抱く力を強める。
「ん。なに、いたいー」
「カーヴェ、帰ったら温かいスープでも飲もう」
今、カーヴェの隣にいるのは俺だ。アルハイゼンの独占欲に、カーヴェは気がつかないのか、嬉しいなあと笑った。
08/17 02:22