◎悲しむ彼女へ朗報を


フレ→←リズ前提リズとルフレ♀


「初恋は叶わないんだって」
 リズさんが私の天幕に突然やってくるなり、そう言った。私は読みかけの戦術書に栞を挟んで閉じる。さて、いったいどうしたのでしょう。
「突然ですね」
「ルフレさんはどう思う?やっぱり叶わないと思う?」
「うーん。」
 私は少し考えて、前に読んだ本を思い出して口にする。初恋は幼いただの思い違いであることが多いから、結果的に叶わず終わると。叶わずというのは正しく無いかもしれない。正しくは恋ですらなかったのだから。
 リズさんはむうと、頬を膨らませる。そしてそれをやめてぼそりと呟く。
「……思い違いなんかじゃないもん。」
「その言い方だと、初恋継続中なんですか?」
「え、あ、うん。よく分かったね」
 リズさんはきょとんとして少し照れて、悲しそうにした。どうしたのでしょう。
「あのね、ルフレさんは誰にも言わない?」
「口は堅い方だと思いますけど…」
「あのね、あたしの初恋の人、フレデリクなの」
「あ、そうなんですか」
「反応が薄い!知ってたの?!」
「なんとなくそうかなあと。軍師たるもの仲間の様子はしっかり見ておかないと戦場で後悔しますから」
「そ、そうなんだ……あらかさまかなあ」
「そんなことないと思いますよ」
「よかったあ」
 リズさんはほっと胸を撫で下ろすと、言い難そうに次に言いました。フレデリクさんとセルジュさんが最近仲良しみたいだと。
「何か問題あるんですか?」
「問題大有りだよ!フレデリク、もしかしてセルジュさんのことが好きなのかな…」
「ええっそれは飛躍しすぎですよ!」
「だってえ…」
 リズさんは今にも泣きそうに俯きます。確かに、最近フレデリクさんとセルジュさんは会話が多い。でも、話している内容の蓋を開けば色気のカケラもない。お互いの主君の話しをしてるのだ。
 それを知ってるのは多分、軍の全員だと思っていた。まさかリズが知らなかったとは…いや話題の本人達はなかなか耳に入らないものか。フレデリクの主君は王家の聖王エメリナ様、そして亡き後はクロム王子。そして勿論リズ姫だってその対象だ。
 会話がお互いの主君達のことばかりだとリズに告げると、リズさんは驚いて顔を上げる。そして、もう一つ。
「フレデリクさん、リズさんの話しをしてる時、とても楽しそうですよ」



悲しむ彼女へ朗報を
(え、えっ!それって!う、浮かれちゃうよ?!勝手に思い込んじゃうよ?!)
(リズ落ち着いて、でも脈はあると思いますよ)



02/13 04:42
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