◎穴を埋めたのは


ヘンオリ


 僕は寂しい。そう教えてくれたのはオリヴィエだった。というより、僕の心を、感情を見つけてくれたのはオリヴィエだった。もちろん、もともと感情も心もあったはずだ。僕なりの、感情と心が。たとえ人並みとはかけ離れていてもあったんだ。でもオリヴィエは僕の中の色々なものを見つけてくれた。僕の寂しさも、優しさも、強さも、弱さも、本当の笑顔も。
「ヘンリーさん?」
「あーオリヴィエー」
 僕はやってきたオリヴィエにぎゅっと抱きつく。温かい、やわらかくて細い、僕の寂しさという穴が埋まって行くみたいだ。
「好きだよーオリヴィエ」
「は、はい!わ、わたしも好き、ですっ」
 ああやっぱり好きだ。僕の寂しさを埋めてくれるオリヴィエ、僕に心を感情を見つけてくれてオリヴィエ、恥ずかしいのにちゃんと愛を伝えてくれるオリヴィエ。みんなみんな大好きだ。そして、この寂しい穴を埋めたこれは。
「こういうの、なんて言うんだろう?」
「?」
「オリヴィエ、わかる?」
 オリヴィエはきょとんとして、僕の顔を見た。そしてオリヴィエは何かを読み取ったみたいで、恥ずかしがりながらも嬉しそうに言った。
「きっと幸せって言うんです。」
 ああ、そうか。これが幸せなのか。この温かくて、気持ちの良い、これが。
「オリヴィエ、僕は幸せだよー」
「ふふ。私も、です」



穴を埋めたのは
(たくさんの幸せだった)



02/13 04:41
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